プロフィール

どんな問いから研究を始め、いま何を考えているか。

研究者として

私はもともと土木工学を学び,建設業の技術者を志して大学に進みました。結果として研究者の道に進むことになりましたが,関心の出発点は今も,農業の生産基盤をどう維持していくかという問題にあります。圃場や農道といった生産基盤は,基盤整備をはじめとする農業土木の営みによって支えられてきましたが,担い手の減少が進むなかで,その維持は年々難しくなっています。一人の作業者が複数台の機械を遠隔で監督し,機械が分散した圃場のあいだを自ら移動する。そうした形で農業土木的な作業の自動化と生産基盤の維持を実現できないか,というのがもともとの興味でした。 その手段として,農業ロボットの遠隔監視・遠隔操作の研究を主軸に,遅延のあるシステムにおける車両制御や,画像処理による安全システムの開発に携わってきました。なかでも遠隔操作は,最も主体的に取り組んできた研究です。通信遅延が遠隔運転者の操作にどう影響するかを論じ,作業者が現場にいなくても農地と農作業を支え続けられる農業の形を模索してきました。 近年は,遠隔操作を人による意思決定の介入や一時的な困難の解消手法にとどまらず,熟練者の判断を高水準に含んだ教師データとして捉えなおした模倣学習への応用に興味があります。耕うんのように作業機の精密な操作が求められる作業には,熟練者の細かなノウハウが詰まっています。担い手が減っていくなかで,こうした知識を抽出して失われないように残し,経験の浅い若い人でも同じ作業ができるようにすることが必要だと考えています。模倣学習は,ルールベースでは記述できなかった農作業の自動化と,人の技能の継承をつなぐ実践的な手法になると期待しています。 こうした研究を通じて,農業の生産基盤と,それを支えてきた人の技能をともに次の世代へつなぐことを目指しています。

研究の外側

研究から離れても,気になったことは自分の手で測って確かめたくなる性分です。ブログでは「脱線研究」と称して,コーヒーミルのような身近な道具を研究者の目で調べてみる連載を準備しています。

もっと知りたい方へ